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令和2年度から新しく実施されている学習指導要領。今回の改訂の目玉は「特別の教科 道徳」の導入(道徳の教科化)や外国語活動の中学年への導入と高学年の教科化(外国語科)、プログラミング教育の実施など、急速にグローバル化(国際化)する現代社会で生き抜くための力を身につけるための取り組みが始まることです。しかし、本当の目玉は…
「主体的、対話的で、深い学び」のある授業への「授業観の転換」かもしれません。
これまでの授業は、教師 児童の対話となる「一斉指導」的授業スタイルが主流でした。 明治初期や前の大戦後間もなくの時のように、追いつく目標がしっかりあるときは有効な授業スタイルですが、「追いつき追い越し」てしまった現代では、教師主導で受身になりがちなこのスタイルは、グローバル社会を生き抜くための学習方法としては十分とはいえません。そこで、対話(お互いがやりとり)をしながら課題を克服する活動を通して、課題への主体的な関わりを生み出したり、教師との対話ではなく、隣同士、グループでの対話を通して理解を深めたりすることで、学ぶことを「自信」につなぐことができたらと考えます。
複式学級になったら先生の関わりが半分になると思っていませんか。それは複式での学習に対する誤解です。確かに、昔、試行錯誤の時代にはそんな授業もありました。
下の図をご覧ください。
A学年 | 先生の動き | B学年 |
---|---|---|
課題と学習の流れの把握 | A学年を指導 | 前の時間の復習(I.C.T.活用) |
ひとり学び | B学年を指導 | 課題と学習の流れの把握 |
ひとり学び+周りとの相談 | 両方の学年を指導(支援) | ひとり学び |
考えの交流(対話)+学習のまとめ | A学年を指導 | ひとり学び+周りとの相談 |
今日の学習の復習(I.C.T.活用) | B学年を指導 | 考えの交流(対話)+学習のまとめ |
学習の振り返り | 両方の学年を指導 | 学習の振り返り(と少しの復習) |
子どもたちが、それぞれグループ活動をしているとき、先生が各グループを巡回しながら指導をしていると考えたら、単学年での授業も複式での授業も、授業の流れの中では大きな差ではなくなります。本校の高学年授業で、各学年に関わった時間を計ったところ、両学年とも45分中35分程度指導機会がありました。
ただ、グループ学習の最中に困ったとき、単学年での授業なら、すぐに助けを求めることのできる先生が、複式での授業で反対の学年にいるとき即座に助けを求めることができないので、自分たちで相談しながら学習を進めざるを得なくなることがあります。この環境が、必然的に「主体性」を鍛えることになります。
このように、複式での授業は「主体的な学び」を生み出す学習環境で、また、必然的に「対話」を重視することになる学習環境でもあり、「深く学ぶ力」につながる可能性が大きくなります。
本校のような小規模校で実施している複式での授業形態は
「主体的、対話的で、深い学び」を実践するのに非常に適している学習形態
ということができます。